塾講師が一年以内に辞めてしまうその原因とは?
塾講師という職業は、離職率が高いと言われています。その理由には、例えば時間外業務の多さ、教育職のイメージとの乖離などがあります。
実際に講師をしていた方の話を聞くと、より具体的な原因が見えてきます。業務時間についてまず見ていくと、特に塾の授業は夕方から始まって夜に終わることが多く、そこから雑務をこなすと就業時間が長くなってしまいます。
小テストの採点、生徒宅への連絡や報告などが授業後に行われ、日をまたぐ時間に帰宅ということも珍しくありません。また、授業のための準備は人によって時間がかかり、休日や出勤前、あるいは仕事が終わってから、自宅で準備をすることになります。
また、もともと教師にあこがれて塾の講師になる方もいます。教育というものへのあこがれをもった人も多いでしょう。しかし、塾の目的は生徒の成績を上げることで、結果にシビアな世界です。教育というよりは、あくまでサービス業といった面が強くなっています。
その他、講師としてずっと現役でいることが難しいのも理由のひとつです。講師職は平均年齢が20代後半であり、定年まで講師を続ける人はごく一部です。
よほどの人気講師か、あるいは個人経営の塾の専任講師で無い限り、30代のうちに管理職へ移ったり、転職したりといった人が多いです。講師を続けていきたいものの、周囲の動きを見て不安を感じたり自信をなくし、結果途中で職を変えるという人も多くいるのではないでしょうか。
塾講師の離職率が年々高くなっている原因とは?
塾講師の離職率については、他の業種と比べて高めと言われています。教育という業界全体について見ても、入社後3年以内に仕事を辞めた人は、小中学校の教諭を含めて50%に及ぶという調査もあり、あらゆる業種の中でワーストとなっています。
離職する人が多いイメージのある「宿泊、飲食サービス」が2位であることを考えても、何か大きな理由がありそうです。
講師の場合、単に授業をこなせばいいと言うわけではありません。勉強会、会議、雑務などといった業務があり、時間外労働や休日出勤も多くなっています。
加えて、数字にシビアな世界であり、競争の激しい世界です。人気講師にでもならなければ、長い間業界で、講師職一本で食っていくことは難しいのです。また、講師職は教員を目指す人が本採用までのつなぎとして選択することが多いです。
また、アルバイトの講師が割合として多いということもあります。結果、正社員として講師を続けるひとの割合は低くなっています。
共に講師として長く仕事をしていく同僚、それが少ないのも離職の理由になっているでしょう。また、塾でのキャリアも関係しています。講師は概ね20代後半になれば、主任といった役職を与えられます。
そして、塾長や教室長へとステップアップしていきます。塾長レベルとなると、実際に授業を行うより、塾の職員をまとめ上げることや、塾の経営が主な業務になります。キャリア形成の過程で、自然と授業という現場から離れて、講師でなくなることも、関係しているのです。